「最近、検索結果で自社サイトの順位は落ちていないのに、アクセスが減った気がする…」──そんなお悩みをお持ちではありませんか。
これは最近よく聞く悩みです。
いくつか要因があると言われますが、その一つが指名検索の拡大です。
有名なSEOツール「Ahrefs(エイチレフス)」の運用会社が2025年5月末に公開した最新リサーチによると、Google検索全体の45.7%がブランド名を含む“指名検索”で占められていることがわかりました。
従来の“キーワードSEO”だけでは取りこぼす顧客が増えている今、ブランドそのものを検索してもらう戦略が欠かせません。
本記事ではデータの読み解き方から指名検索を増やす具体策、そしてSEOの新常識までをわかりやすくお届けします。
Ahrefsが示した「Google検索の半数はブランドを含む」衝撃データ
まずは元のデータを詳しく見ていきましょう。
調査概要と結果ハイライト
指標 | 割合 |
---|---|
指名検索キーワードの比率 | 36.9% |
指名検索全体の検索ボリューム比率 | 45.7% |
出典:Ahrefs “Almost Half of Google Searches Are Branded” ahrefs.com
米国150万件超の検索クエリを解析し、クエリ数で36.9%、実際の検索では45.7%がブランドを含んだ検索だったとの報告です。
これは米国のデータですが、おそらく日本でもそれほど変わらないと予想されます。
「ブランドを含む検索」とは?
ブランド名を含む検索と言われてもイメージが沸かない人が多いと思いますので、もう少し具体的に見ていきましょう。
例えばこんな感じの具体的なブランド名や商品名が含まれた検索ですね。
パターン | 検索クエリ例 | 意図の傾向 |
---|---|---|
商品+ブランド名 | ユニクロ 感動パンツ | 価格・在庫確認 |
サービス名のみ | ChatGPT | トップページへ直行 |
商品名+レビュー | Switch2 口コミ | 購入前の信頼性確認 |
ブランド+クーポン | Uber Eats クーポン | お得情報探索 |
ブランド+競合比較語 | マネーフォワード freee 比較 | 導入検討 |
ブランドを指名して検索するユーザーは、認知→興味→検討→購入のプロセスのうち、すでに「興味〜購入」に入っている“ほぼ顧客”とも言えます。集客効率が高いのが特徴です。
このようなユーザーが特定のブランド名・サービス名・店舗名などをキーワードに含めて検索する行為を指名検索とも言われています。
なぜ指名検索が増えたのか
少し前のSEO(検索エンジン対策)では特定のキーワードで上位を取る、特定のキーワード+地域で上位を取るというのが目標だったと思います。
しかし、そもそもその手の検索をする人が減り、直接ブランド名をいれるようになっているんですよ。
ブランド名そのものは繰り返し検索されやすい
まず、大きいのがブランド名は繰り返し検索されやすいということです。
例えば〈ユニクロ 公式〉は一人がユニクロ+◯◯と何度も検索するため、クエリ(語句)数より検索回数が膨らみやすいです。
音声・モバイル検索の普及
SiriやGoogleアシスタントを使って検索する人も増えているのも要因の一つです。
例えば「スタバ メニュー」などのように話しかけるユーザーが増え、ブランド名を含めた“口語的”検索が急増。
SNS・動画の影響
また、SNSや動画の影響力が大きくなっているのもあります。
SNSなどで商品を見たあと、ブランド名で直接検索して比較検討する行動が一般化しているんですよ。
指名検索を増やす5つの打ち手と成功事例
それでは指名検索を増やすにはどうすればよいのでしょう?
これはSEOよりも難易度は高めではあります・・・
SNS・動画を活用した“想起率”向上
まずは◯◯といえば◯◯と思い出してもらう(想起率)を上げることが重要です。
具体的にはTikTok・YouTube Shortsなどで15秒のブランド紹介などです。
記憶に残るフレーズを定着させ、検索窓に入力させる“トリガー”を作るのがポイントですね。
また、xで特定の話題の情報を提供し続けるなども効果があります。
ハッシュタグを使うのも効果的ですね。
例:#〇〇チャレンジ でUGC(User Generated Content)を促進 ⇒ 指名検索増。
オフライン×オンラインの連携
店舗レシートやパッケージ、名刺に 「公式サイトで限定クーポン配布中」 を記載。
→ ブランド名+クーポン の指名検索を誘導するのも効果があります。
セミナーなどをやるならウェビナーやセミナー終了時に “ブランド名でググってください” と音声で呼びかけ、参加者の検索行動を促すのも効果的でしょう。
パートナーシップ・PR
インフルエンサータイアップで“第三者の口”からブランド名を多用してもらうのも効果的です。
業界団体・メディアでの寄稿・講演をするのも効果的です。
権威性を強化し“指名検索”の増加も期待できます。
サービス体験の磨き込み
サイト表示速度、決済フロー、カスタマーサポートを改善し、再指名検索を喚起するのも重要です。
検索結果のブランディング最適化
サイト名、パンくずリスト、FAQ構造化データを整え、ブランド名+主要キーワードでトップを固める。
GoogleビジネスプロフィールやSNSプロフィールで表記ゆれを統一し、検索エンジンにブランド同一性を明確化するなど地味な作業も効いてきます。
成功事例:ユーミー動物病院のさせっち先生
このあたりかなりうまくやってらっしゃるなって感じているのが、千葉県佐倉市王子台のユーミー動物病院のさせっち先生ですね。
令和の虎などのユーチューブに出演したり、XなどのSNSもうまく活用。
さらには米国でFIPの論文を発表したり、学会などで発表されたりなど権威性を高めてらっしゃいます。
これによりFIPといえばさせっち先生、ユーミー動物病院というブランド認知がかなり高くなっているでしょう。
さすがに千葉なので治療のお願いはできませんでしたが、うちの猫がFIPになった際などにもかなり参考にさせていただきました。

SEOの常識がこう変わる
これからのSEOは大きく変わってくるかと思われます。
キーワード選定軸のシフト
まずキーワードの選定について大きく考え方を変える必要があります。
具体的には以下のとおり。
従来のSEO | 新時代SEO(指名検索重視) |
---|---|
トランザクション/インフォキーワードで集客 | 体験接点を広げ、ブランドを覚えてもらい指名検索へ誘導 |
“検索ボリューム>競合度”で判断 | “検索意図”と“指名化ポテンシャル”で判断 |
SERP順位最適化がゴール | ブランド認知&好意形成がゴール |
コンテンツKPIの再設定
またそれに伴いKPI(業績評価指標)も再設定が必要です。
従来KPI:PV数、平均順位、インプレッション
追加すべきKPI:
- ブランド指名検索数(Search Consoleで計測可能)
- ブランド名流入のCTR
- 指名クエリごとのCVR(成約率)
AI Overview時代の防衛策にも
また、以前もブログにしましたが、AI Overviewの対策にも指名検索は有効です。
AI OverviewとはGoogle検索でAIが検索結果の概要を自動生成する機能のこと。
AIが生成する内容で満足してしまう人が増えてGoogleのAI Overview(旧SGE)が表示されると、情報収集型キーワードのクリックは平均34.5%減少するとのAhrefs調査も報告されています。
しかし指名検索では 公式サイトがファーストビューに出る確率が高く、CTR減少の影響が相対的に小さいのもメリットです。
ブランド指名検索ならば 90% 以上がクリックに至ります。(SparkToro データをもとに試算)

中小企業が対応すべき今すぐやるべきこと
それでは指名検索に対して中小企業が今すぐやるべきことをみていきます。
ブランド名の統一
まずはブランド名の統一をしましょう。
具体的には法人名・屋号・ドメイン・SNSハンドルを極力そろえる
旧表記で検索されている場合は301リダイレクトや注記で誘導するのがよいでしょう。
“指名検索ブリッジコンテンツ”を置く
指名検索されたときに到達するページを用意しておくのもよいでしょう。
例:「◯◯(ブランド名)とは?」ページを用意し、企業ストーリー・FAQ・口コミを一括掲載。ユーザーの疑問を完結させる設計するのです。
ローカルSEOと指名検索を連動
Googleビジネスプロフィールにキャンペーンコードを挿入 → 検索→来店トラッキングなども効果的です。
指名検索レポートを議題に
サイトのアクセス数などだけでなく、指名検索の数を広告、商品開発、営業まで共有し、部門横断で改善することが必要です。
まとめ:検索エンジンは“指名検索”の時代へ
今回は「指名検索が約半数!最新データに学ぶブランド検索時代のSEO戦略」と題して指名検索について見てきました。
まとめると
- Google検索の約半数はブランドを含む指名検索。
- 指名検索は顧客の購買プロセス後半を担う“濃い”トラフィック。
- SNS・動画・オフライン施策を組み合わせ、**“ブランドを思い出してもらう仕掛け”**が不可欠。
- SEOのKPIは順位やPVだけでなく、指名検索数とCVRへシフト。
- 中小企業こそ、地域密着×ブランド統一で“検索窓指名”を勝ち取ろう。
ぜひ指名検索を伸ばす方法を検討してみてください。
