外国人の「経営・管理ビザ」要件が厳格化へ——中小企業診断士等による事業計画の第三者評価が提出必須に

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外国人の「経営・管理ビザ」要件が厳格化へ——中小企業診断士等による事業計画の第三者評価が提出必須に(省令案)

外国人の「経営・管理ビザ」要件が厳格化されそうです。

パブリックコメントを開始され公布は10月上旬、施行は10月中旬が予定と示されています(案)。

今回はこの省令案の原資料に基づき、変更点と実務影響を整理します。

目次

まず結論:何がどう変わる?(確定見込みの変更点:省令案)

まずは今回の変更内容について見ておきましょう。

規模要件の見直し

規模要件が以下のように引き上げられます。

  • 資本金(又は出資総額)3,000万円以上に引き上げ(現行500万円以上から)
  • 常勤職員1名以上の雇用を明文化(従来は「2名以上」または「資本金500万円以上」等の選択式)→今後は資本金要件+雇用要件の両方を満たす形に。

申請者の学歴・経歴要件

修士(博士・専門職を含む)などの学位、または 3年以上の経営・管理経験が必要に。

提出書類の強化

事業計画書は「経営に関する専門的知識を有する者」による評価を受けたものの確認資料の提出が必須に(第三者確認の義務化)。

スケジュール感と経過措置

いま出ている情報を元にスケジュール感を予想すると以下のような形でしょう

  • 意見募集:2025年8月26日〜9月24日(必着)。
  • 公布/施行の目安:10月上旬/10月中旬(案文の記載)。
  • 既存許可者の取り扱い:詳細は今後の運用通知で示される見込み。報道では更新時の配慮等の記述もあるが、公式最終文書を要確認

新旧比較表(省令案ベース)

スクロールできます
項目現行省令案(2025年8月26日公表)
規模要件①常勤2名以上 または ②資本金500万円以上 または ③同等規模常勤1名以上 かつ 資本金3,000万円以上(③同等規模は削除)
申請者要件明確な学歴・経歴要件の規定なし修士相当以上の学位 または 経営・管理3年以上
事業計画書書式自由、第三者評価は必須ではない「経営の専門知識を有する者」による評価済みの提出が必須
施行スケジュール10月上旬公布→10月中旬施行(予定)

「経営に関する専門的知識を有する者」による第三者評価とは

「経営に関する専門的知識を有する者」による評価を受けたものの確認資料の提出が必須とはどういうことでしょう。

第三者とは具体的に誰?中小企業診断士や公認会計士?

省令案の条文上は「経営に関する専門的な知識を有する者」と表現され、具体的な資格名は明示されていません

一方、入管庁が従前から公開している関連ガイダンスでは、「中小企業診断士や公認会計士等、企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者」の評価書を求めうる旨が示されています。

今回の“評価者”像もこの延長線上とみるのが自然です(最終的には施行時の要領・通知で確定)。

報道では

・日経新聞では公認会計士や中小企業診断士
・産経新聞では中小企業診断士
・読売新聞では中小企業診断士など

とされていますね。

新規事業計画の確認とはなにをする?

具体的な内容は今の時点では不明です。

おそらくその事業計画の中身が机上の空論ではなく、実現可能性継続性があるのかをチェックする形になるのでしょうか。

産業廃棄物業者が許認可を受ける際や外国人技能実習生制度を使っている会社が業績等によって提出を求められる報告書等に考え方は近いとは思われます。

※当事務所でも承っております。

>>産業廃棄物業者の経営診断報告書作成

>>外国人技能実習制度の企業評価書作成

実務影響:外国人経営者・人事が今から準備すべきこと

それでは外国人経営者の方は今からどのような準備をしておくと良いのでしょう?

資本政策の再設計

資本金3,000万円に向けた増資・出資を検討

雇用計画の前倒し

常勤1名以上の採用・社会保険加入等の証憑整備(雇用契約、賃金支払記録、住民票/在留カードの写しなど提出明記)。

学位・経歴のエビデンス確保

英文原本+公的翻訳の確保、3年以上の経営管理経験の在証(在職証明、役員登記、契約書等)。

事業計画の「第三者評価」準備

  • 評価者の当て先(中小企業診断士、会計士等)の選定
  • 計画前提の裏取り(顧客候補・LOI、仕入契約、KPI、感度分析、キャッシュフロー表)
  • 評価依頼スコープの合意(市場性、実現可能性、リスク管理、資金繰り耐性)

提出資料の“二枚看板”整備

雇用証憑一式資本金立証資料両方提出が必要に(従来の「いずれか」提出から変更)。

よくある疑問(FAQ)

いま許可を持っている人の更新は?

今の時点では運用詳細は未公表です。

省令案では提出資料の見直しも含むため、更新でも雇用+資本の両立証が求められる方向が読み取れます。

続報の運用通知を注視してください。

スタートアップ・ビザ保有者への影響は?

本稿は「経営・管理」の省令案に基づく整理です。

スタートアップ関連は別の制度・告示の改正(案)も同時並行で動いており、告示改正のパブコメ資料を要確認です。

まとめ

今回は「外国人の「経営・管理ビザ」要件が厳格化へ——中小企業診断士等による事業計画の第三者評価が提出必須に(省令案)」と題して経営管理ビザの要件が厳格化されるよって話をみてきました。

かなり大きく変わりますので、厳格化の影響を受ける企業様は早めに準備しておきましょう。

なお、本事務所でも中小企業診断士による新規事業計画の確認について承っていく予定ですが、今の時点で詳細が不明なため、正式な発表があり次第、受付方法、必要書類、標準納期、価格等を公表します。

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